法廷でのパソコン電源利用の制止に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 09:40 UTC 版)
「景山太郎」の記事における「法廷でのパソコン電源利用の制止に関する問題」の解説
横浜地方裁判所第3刑事部に係属した刑事裁判において裁判長を務めた景山は、2021年9月27日、公判前整理手続期日の開始直前に、いつものように持参したノートパソコンを法廷内の電源に接続して使用しようとした弁護人・高野隆に対し、「皆さんだけに電気の使用を許すわけにはいかないので。国の電気ですから、私的とか、仕事上かもしれないけど、自前の電気でやってください。そのように各地の裁判所でもしています。公判前整理手続で電気を使うのは筋違いだと思います。」と述べ、法廷内の電源の使用は許されない旨の注意をした。景山は、弁護人から、その注意は裁判長の訴訟指揮権に基づく処分であるか否かと問われ、これを肯定した。そこで、弁護人は、刑事被告人が弁護人の援助を受ける権利(憲法37条)を侵害する違憲かつ違法な処分であるとして裁判長の処分に対する異議を申し立てた。これに対し、景山は、弁護人に対し、法廷の電源の使用は許されない旨を改めて告げた(弁護人の主張に拠れば、景山は、もう一人の裁判官と合議して弁護人の異議を棄却した。)。これを受けて、弁護人は、東京高等裁判所に抗告を申し立てた。東京高等裁判所は、2021年10月6日、上記のやりとりは公判前整理手続期日の開始前にされたものであって裁判書が作成されていないことを理由として、そもそも抗告の対象になる裁判所の決定がされていないという理由で弁護人の抗告を棄却した。ただし、東京高等裁判所は、当該棄却決定において、景山の発言は裁判所による決定がされたとの誤解を招きかねない点で不相当であるとも指摘した。
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