治療閾値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:17 UTC 版)
治療閾値((英)therapeutic threshold)とは治療的介入が必要となる閾値である。治療により検査値を一定範囲にコントロールする管理目標値、緊急に処置の必要な緊急異常値(パニック値)も治療閾値に含まれる。治療閾値は患者集団の臨床的検討から設定される。例をあげれば、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の検査試薬添付文書に記載されている基準値は18.4 pg/mL以下であるが、100 pg/mL以上で治療対象となる心不全の可能性あり、200 pg/mL以上で治療対象となる心不全である可能性が高い、とされる。 健診閾値、予防医学閾値 放置すれば何らかの疾患を発症するリスクが高くなる閾値を治療閾値から分けて、健診閾値、または、予防医学閾値と分類することもある。設定されている項目の代表的なものが血中脂質である。 例をあげると、LDLコレステロールの共用基準範囲は、65 mg/dLから163 mg/dLであるが、高LDLコレステロール血症と診断するためのカットオフ値は140 mg/dL以上であるため、検査結果報告書に表示される基準値上限には 140 mg/dLが採用されることも多い。外来診療や健診では検査結果を受診者に通知するのが通常であるが、検査結果値が上限と下限の間にあれば受診者は「正常」と受け取ることが多い。LDLコレステロール値が 140 から 163 mg/dLであれば、健常人の95%には含まれるが、高LDLコレステロール血症として生活習慣改善などの治療的介入の対象にはなるので、報告書の表示や説明に工夫が必要である。
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