治療としての利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 10:10 UTC 版)
「テナガザル白血病ウイルス」の記事における「治療としての利用」の解説
GaLVエンベロープタンパク質は、癌遺伝子治療や遺伝子導入におけるウイルスベクターとしての有用であり、生物学的に重要である。レトロウイルスベクターは、ex vivo遺伝子治療で利用される。ex vivo遺伝子治療では細胞を取り出し、機能不全のタンパク質をコードする遺伝子を正常な遺伝子にin vitroで組換え、元の患者に戻す遺伝子治療であり、組換えた遺伝子は宿主細胞の核およびリボソーム内で転写および翻訳を受け、「正常な」分泌可能なタンパク質を産生する。初期のレトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)に由来しており、GaLVエンベロープタンパク質でシュードタイピングする(別のウイルスのエンベロープタンパク質で覆う)と、さまざまな宿主細胞への遺伝子導入が可能となる。さらに、GaLVの細胞外ドメインを利用したハイブリッドマウス両指向性ウイルスエンベロープの開発は、遺伝子治療における宿主内での細胞感染率を高めるのに役立つ 。 遺伝子導入は、受容体の発現と遺伝子導入効率に依存する。ヒトTリンパ球には、GaLVの存在を検出する2つの表面受容体(GLVR-1とGLVR-2)があり、Lamらよると、GLVR-2よりもGLVR-1の発現が8倍多ことから、ヒトTリンパ球に遺伝子導入するにはGLVR-1表面受容体に結合するGaLVエンベロープタンパク質を利用する必要があることを示している。 ただし、ガンマレトロウイルスは非分裂細胞に感染することができないため、遺伝子導入におけるGaLVエンベロープタンパク質の有用性はレンチウイルスベクターに取って代わられつつある。
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