残余の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/25 04:45 UTC 版)
「シャルル・ジェラール」の記事における「残余の理論」の解説
ジェラールの提唱した残余の理論はすべての化合物が2つの根の接合した接合子として表されるというものであった。ただ、ジェラールは根の説の信奉者とは違い、根の実在性は否定し、根は反応の際に一時的に現れるだけであるとした。 この説の副産物として単体の分子式についての問題が解決された。当時は単体は単原子であると考えられていたため、ベンゼンと塩素が反応してクロロベンゼンと塩化水素の2つの塩素化合物が生成する反応をうまく説明できなかった。しかしジェラールの説によれば水素や塩素も2つの根が接合した二原子分子であるということになり、この問題が解決された。 またこの説を採用すると、ベルセリウスの原子量・分子量決定法に問題があることが分かった。ベルセリウスは金属 M の酸化物の組成式を MO と考えていたため、1価の金属の原子量がすべて2倍になっていた。そしてカルボン酸の分子量を銀塩の組成から決定していたため、カルボン酸の分子量も2倍になってしまっていた。ここでジェラールはカルボン酸の塩素置換反応に残余の理論を適用すると、塩化水素の分子量も従来の2倍になってしまうということに気づいた。ジェラールは金属 M の酸化物の組成式は M2O であるとすれば一貫性が得られ、またアボガドロの仮説が成立することを示した。ローランはこの説を支持し、その重要性を指摘した。 この新しい分子量はウィリアムソンやウィリアム・オドリング、アウグスト・ヴィルヘルム・フォン・ホフマンらによって採用された。ただし、ジェラールは今度は2価の金属についても組成式を M2O としてしまったために、これらの金属については原子量が今度は半分になってしまった。この誤りは後にスタニズラオ・カニッツァーロによって正されることになった。 典拠管理WorldCat VIAF: 34537874 LCCN: n86834987 ISNI: 0000 0001 1052 9969 GND: 119321300 SUDOC: 032244339 BnF: cb12375340p (data) (window.RLQ=window.RLQ||[]).push(function(){mw.log.warn("Gadget \"ReferenceTooltips\" styles loaded twice. Migrate to type=general. See \u003Chttps://phabricator.wikimedia.org/T42284\u003E.");});
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