残された希望
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/29 14:44 UTC 版)
スーダンが死ぬ前から、研究者たちは体外受精による種の保存技術開発を続けていた。スーダンとスニの精子は、ベルリンにあるライプニッツ野生動物研究所で冷凍保存されている。ナジンとファトゥは高齢で繁殖が困難なため、近縁のミナミシロサイを代理母とする研究が進んでいる。 2018年7月、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズはドイツ人科学者たちによる研究開発チームがサイのメスから卵母細胞を取り出すことに成功したとの研究結果を発表した。科学者たちは既に死んだオスのサイ2頭の精子を用いて、胚を作る方法に取り組んだ。この胚はキタシロサイの近縁種から採取した卵子を使って作られた。 研究開発チームの1人は「完全なキタシロサイの子供が「3年以内に」生まれるのを期待している」と述べたという。ただし、シンシナティ動物園のテリー・ロス博士はその期待を「楽観的」と指摘した上で「サイにおける(代理母への)胚移植は研究の初期段階で、サイのどの種でもまだ成功したことがない(中略)キタシロサイ(の卵子)を手に入れるのは困難で、その数も限られるだろう。おそらく生成された胚は全て、代理母となる個体が準備されるまで冷凍保存される必要がある」と述べている。 その他に、2015年に死んだメスのナビレの卵子と組織がイタリアの研究機関に保存されている。ナビレは卵巣膿瘍のために子孫を残すことはできなかったものの、健康だった方の卵巣から卵子を保存することが可能であった。
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