歴史と命名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/30 02:28 UTC 版)
フェルズは非常に古い駒であり、全ての将棋類の祖先であるチャトランガおよびシャトランジに登場し、またタメルラン・チェスといった一部の非常に初期のチェス類でも使われた。シャンチー(中国象棋)の仕・士はフェルズのように動くが、移動できる範囲に制限がある。フェルズは、クイーンとビショップが現代の動きに発展した1300年頃までは標準的なチェスの駒であった。また、大将棋といった歴史的な日本の将棋類にも猫刄という名称の同じ動きの駒が存在する。 タイのマークルックの「メット(種)」という駒はシャトランジのフェルズから変化していない。マークルックとシャトランジの違いは駒の初期配置とポーンに相当するビア(貝)の成りのルールである。したがって、シャトランジのエンドゲーム理論の大半はマークルックについても有効である。 この駒は元々は「マントリ」(mantri。サンスクリット語で「大臣」または「顧問」を意味する)と呼ばれていた。これがペルシア人によってfarzin(「顧問」または「賢人」の意)と翻訳された。これがアラブ人によってfirzと縮められて、中世ヨーロッパにおいてferzまたはfersとなった。その英語での名称は後に「クイーン」(女王)に変化したが、ロシア語やウクライナ語では現在でもクイーンの駒をferz (ферзь) と呼ぶ。
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