正時「x分前」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:21 UTC 版)
日本語で時刻を指し示す表現の一つに、正時に対して相対的に「x分前」を付す場合がある。この日本語表現で示す「時刻」について解釈の齟齬が指摘されている。 具体例として「9時前」と「9時10分前」の表現を考える。正時である9時に「前」を付した「9時前」の場合には『9時の「(少し)前」』として一義的に理解される。これに対し、正時である9時に「10分前」を付した「9時10分前」の場合に指し示す時刻が、【A】『9時の「10分前」』を意味する解釈、または【B】『「9時10分」の「(少し)前」』を意味する解釈、どちらの解釈も成り立つ。そのために、「9時10分前」が具体的に指す「時刻」についての誤解が生じやすい。前者【A】の用法ならば8時50分、後者【B】の用法ならば9時05-09分頃を意味することになる。 NHK放送文化研究所による放送用語の用法例の説明として、(正時前の)時刻を客観的・時系列的に伝えるような場面では、「6時10分前」などの「-分前」の用法はせずに「5時50分」のように具体的に表すとしている。 前述の表現方法【A】「x分前」のような相対的表現を用いる場合には、「9時まで あと(のこり)10分」のような用法や、「9時前10分」のような一部地域の方言的用法であれば、誤解の余地を少なくすることができる。ただし、このような相対的な時刻表現用法は、アナログ式時計での表示に基づく表現、つまり正時で「長針が12を指し示す」までの「残り分数」を表わす表現であるため、携帯電話やスマートフォンで用いられるデジタル時計の普及に伴い、上記の一部地域での使用例は少なくなりつつある。
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