東欧圏の作曲家のキリスト教音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 23:17 UTC 版)
「キリスト教音楽」の記事における「東欧圏の作曲家のキリスト教音楽」の解説
旧ソビエト連邦の作曲家には、例えばセルゲイ・プロコフィエフやドミートリイ・ショスタコーヴィチなどに見られるように、ほとんど宗教的題材に基づく音楽がない。これは共産主義が無神論と唯物論を前提としているのですべての宗教を否定し、言論の自由が抑制されていたソ連では宗教音楽というものを大々的には作曲できなかったという事情がある。ソ連の衛星国となっていた東欧諸国でも事情は似通っており、東欧における正教会の聖歌伝統は、宗教弾圧下で細々と継承されつつも停滞した。 しかしペレストロイカ以降に鉄のカーテンの向こうから西側に紹介され始めた音楽家の中で、特にエストニアのアルヴォ・ペルト、タタールのソフィア・グバイドゥーリナの2人は、キリスト教的題材を持つ音楽を多く作曲している。例えばペルトの「ルカ受難曲」、グバイドゥーリナの「イン・クローチェ(十字架の上で)」「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」、ヴァイオリンと管弦楽のための「オッフェルトリウム」などが挙げられる。アルヴォ・ペルトは正教徒であり、奉神礼において用いられる無伴奏声楽の正教会聖歌も作曲している。 また、ロシア正教会渉外局長であり神学者・歴史学者でもあるイラリオン・アルフェエフ大主教は、管弦楽つきのオラトリオや受難曲とともに、奉神礼で用いられる無伴奏声楽の聖歌も作曲しているなど、ソ連崩壊後に東欧において正教会をはじめとしたキリスト教の音楽伝統は急速に復興・拡大を遂げている。 ユダヤ系のシュニットケらにも同様の作品があるが、彼らが急速にキリスト教音楽作品を増やしている理由は、共に故国を捨ててドイツに定住し、需要に応じて常にその類の委嘱を大量に受け続けているためであり、器楽伴奏を奉神礼において使用しない正教会の伝統には強くこだわってはいない。
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