条名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 05:27 UTC 版)
「日本の法令の基本形式」の記事における「条名」の解説
条名は、ある条を特定するための名称のことであり、本則の中で一意に定められる。通常は「第○条」と番号で表記される。複数の条がある場合には、第一条から順に漢数字で番号を振ってゆくのが正式であるが、横書きの文書で法令を表記する際に漢数字をアラビア数字に置換する例も見られる。 条と条の間などに新たな条を挿入する際には、その挿入した条の条名に枝番号を付して、「第○条の○」といった形で表記する。以下は、条の挿入による枝番号付与の例を示したものである。なお、以下の例では、条文中の数字は便宜的にアラビア数字を用いる。 第1条と第2条の間に新たに条を挿入する場合、挿入した条の条名を第1条の2とする。第1条 … 第1条の2 … ←新たに挿入された条 第2条 … 第1条の2と第2条の間に新たに条を挿入する場合、挿入した条の条名を第1条の3とする。第1条 … 第1条の2 … 第1条の3 … ←新たに挿入された条 第2条 … 第1条の2と第1条の3の間に新たに条を挿入する場合、挿入した条の条名を第1条の2の2とする。第1条 … 第1条の2 … 第1条の2の2 … ←新たに挿入された条 第1条の3 … 第2条 … 旧繭糸価格安定法(昭和26年法律第310号、生糸の輸入に係る調整等に関する法律と題名変更したのちに廃止)では、第12条の13の3と第12条の13の4の間に「第12条の13の3の2」という条が挿入されたことがある。これは昭和57年の改正によって追加された条であるが、昭和60年の改正で一部改正された上で「第12条の8」となった。 上記の例において注意すべき点は、一見すると「第1条の2」は「第1条」にあたかも従属しているように思われるが、両者間に主従関係はないという点である。つまり、枝番号付きの条もそうでない条も、同じ条として対等に扱われるのである。 一方、ある条を削除する場合には、「第○条 削除」といった形で表記することにし、中身を削除して、条そのものは残すことになる。 挿入、削除のいずれにおいても、それらによって番号を繰り上げたり繰り下げたりして振り直す改番は通常は行わない。これは、ある法令が他の法令を引用する場合に、条文中で「○○法第○条」といった形で条名で表記するため、引用先の法令で改番が行われると、それだけのために、その法令を引用している他の法令の改正も行わなければならなくなるからである。 ただし、例外があって、第1条より前に(つまり、その法令の冒頭に)新たに条を挿入するといった場合には、挿入前の第1条を「第1条の2」と変更し、新たに挿入した条に「第1条」を名乗らせている。また度重なる改正で枝番号や削除が増えていった場合、大規模な改正の際に条名を整理することがある。この例として学校教育法等の一部を改正する法律(平成19年法律第96号)による学校教育法の改正で、従来の第92条を第146条にするなど全面的に条名を整理した(そのため同時に学校教育法を引用する30以上の法律の改正も行った)。
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