材料による疲労限度の存在有無
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 16:39 UTC 版)
「疲労限度」の記事における「材料による疲労限度の存在有無」の解説
全ての材料に疲労限度が存在するわけではなく、存在する材料の種類は限られている。明瞭なS-N線図の水平折れ曲がりを示す材料としては、鉄鋼やチタン合金などの材料に限られている。 明確な疲労限度を持たず、繰り返し数107 - 108回を超えてもS-N曲線は右下がりの傾向を示す材料としては、アルミニウム合金、銅合金のような非鉄金属、多くのプラスチック材料などが挙げられる。このような材料では、107回、108回などの十分に余裕を持つと考えられる繰り返し数に対応する応力(時間強度)を疲労限度と同じような目安と見なして取り扱う。 材料によって疲労限度が存在するかしないかのメカニズムの一般的な定説は現在のところ存在しない。鉄鋼のような明瞭な降伏を示す材料は疲労限度を持ち、非鉄金属のような降伏を示さない材料は疲労限度を持たない傾向にある。 また、高強度の鉄鋼材料では、106回 - 107回辺りでS-N曲線が水平になった後、108 - 109回以上でまたS-N曲線が右下がりとなり、疲労限度が消失する場合がある。このような繰り返し数領域での疲労破壊を超高サイクル疲労 (very high cycle fatigue) などと呼ぶ。通常の疲労では材料表面を起点にしてき裂が発生・進展するが、超高サイクル疲労では材料内部からのき裂進展により破壊に至るのが特徴である。
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