有機触媒的移動水素化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/16 16:21 UTC 版)
有機触媒的移動水素化は、2004年にリストによりハンチュのエステルがヒドリド源およびアミン触媒として働く反応が報告されている例がある。 この反応はα,β-不飽和化合物を基質とするものもある。プロトン源は酸化されてピリジンに変化し、補酵素のNADHに似た構造となる。この反応の触媒サイクルはまずアミンとアルデヒドからイミニウムイオンができ、次にプロトンが移動してイミニウムの結合が加水分解し、触媒が再生する。キラルなイミダゾリジノンであるマックミラン触媒を使うことで81% eeで目的の立体異性体が得られる。 マクミランの研究グループはそれに似た不斉反応を2005年に報告している。 立体変換が起こる一例としてE-体とS-体の両方から(S)-体が生成する反応がある。 この反応は基質のケトン(より正確にはエノン)やハンチュのエステルによって微妙な触媒の調整が必要になる(エノンの場合、ベンジル基をつけ、tert-ブチル基をフランで置き換える。ハンチュのエステルの場合、より嵩高いtert-ブチル基を追加する) 。 他の有機触媒を用いた場合、イミンを水素化することができる。ある特定の反応にはリン酸から合成されるBINOLが用いられる。基質がキノリンで目的物がテトラヒドロキノリンである反応は、1,4-付加と 異性化、1,2-付加が連続的に起こるカスケード反応(英語版)である この反応の最初のステップはキノリンの窒素原子がリン酸によってプロトン化され、キラルなイミニウムイオンが生成する。金属触媒では芳香族化合物あるいはヘテロ芳香族化合物のプロトン化は進行しない場合が多い。
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