有機物溶液の加熱および密閉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/07 16:03 UTC 版)
「自然発生説」の記事における「有機物溶液の加熱および密閉」の解説
有機物溶液中における微生物の自然発生の否定はイタリアの動物学者ラザロ・スパランツァーニによって実験された。彼の行なった実験は非常に単純で、 有機物溶液を加熱することにより微生物の発生を抑止できる というものであった。微生物の発生を抑止するには加熱以外に有機物溶液を外気に触れさせないという彼の主張があったが、これは 微生物は空中から運搬され、有機物溶液中に侵入する という論拠が根底にあった。加熱および有機物溶液を外気に触れさせない、いわゆる『溶接密閉法』の技術を考案し、ガラス瓶を用いて以下の実験を行なった。 フラスコ内の有機物溶液を加熱した後、金属でフラスコの口の溶接密閉を行なう。 長期間保存しても微生物は現れない。 フラスコ壁面に微小な亀裂を生じると微生物が発生する。 結果、微生物を永久に有機物溶液内に発生させないようにするには、溶液を加熱した後、容器を溶接密閉した状態に保つ、とした。 スパランツァニのこれらの実験は『滅菌』と言う概念を生じ、自然発生説の否定はおろか、食品の保存に関する方法について重大な影響を与えた。後にニコラ・アペールによって缶詰法(アペルティゼーション)が開発された。 しかしながら、以上の実験に対して、ニーダムなど自然発生論者は以下のように反論した。 密閉により微生物の運搬を防いだわけではなく、「空気の中の何かが生命の発生に必須であり、それが供給されなかったため」ではないか。 つまり、ここで自然発生説否定派に対して、培地に新鮮な空気を供給しつつ、それでも微生物は発生しないことを示すことが求められたのである。
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