有性生殖のコストとパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 04:31 UTC 版)
「有性生殖」の記事における「有性生殖のコストとパラドックス」の解説
有性生殖と比較して、(少なくとも)短期的には無性生殖の方が有利な繁殖方法とされる。すなわち、個体数と繁殖スピードが同じ個体群なら、子供を生まない雄がいる個体群よりも、子供を生む個体ばかりの個体群の方が繁殖速度が大きい。例えば雌雄が1:1である集団の場合、無性生殖による繁殖速度は有性生殖の2倍となる。また、異性を探し回る、交尾をするなどの繁殖行動には時間や体力が必要である上、交尾中は無防備である。それどころか動植物以外の生物では、多くの場合において有性生殖は個体数の増加とは直接関係しない。 有性生殖は個体数の増加や個体の成長には直接結びつかないにもかかわらず、上で述べたように必要な資源を消費する事は明らかである(※これを指して「有性生殖のコスト」と言うことがある)。このように多大なコストがかかるにも関わらず、多くの生物は有性生殖を行う。これは有性生殖のパラドックスと呼ばれている。この事実は生物学者を悩ませ続けているが、このパラドックスと有性生殖の進化を説明する代表的な仮説を以下で紹介していく。よく見逃されるが注意が必要な点として、これらの理論は「性(遺伝子の定期的な交換)」の存在はよく説明しているものの、性別(雌雄)の存在は説明していないことに注意を払う必要がある。上記の性の2倍のコスト、つまり繁殖に限定的な関与しかない「雄」の存在を説明するものではない。ちなみに、雌雄別が主流な生物群は動物のみであり、他の生物群では雌雄同体(同一個体が大小2種類の配偶子をつくる)ないしは性差がない(配偶子の大きさがほとんど変わらない)が主流である。
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