月の満ち欠け
『イソップ寓話集』(岩波文庫版)468「月と母親」 月が母親に、「体にぴったり合う服を織っておくれ」と頼んだ。母親は答えた。「どうしてぴったりのが織れるのさ。お前は今は満月だが、やがて三日月になり、そしてまた両ぶくれになるじゃないか」。
『月になった男』(ロシアの民話) 昔、1人の男が湖のほとりの家々を回って、物乞いをしていた。食べ物をくれる家もあれば、くれない家もあった。男は、たらふく食べてまるまると太ったり、骨と皮に痩せ細ったりを繰り返した。そのうち男は月になり、今では、湖の周りではなく、地球の周りを回っている(ツンドラ地帯の狩猟民ユカギル族)。
『巨竜ハラ・ナ・ゴダンの物語』(インドネシアの神話・伝説) 巨竜ハラ・ナ・ゴダンが、尾でいくつかの卵を温めていた。羊飼いが来て卵を見つけ、石を投げつけて全部割ってしまう。怒った巨竜は、羊飼いを食おうと追いかけ、羊飼いは天まで逃げて月に助けを求める。月は羊飼いの身代わりとなって、自分の体を竜に与える。毎月1度(29日か30日ごとに)、竜に食べられるのだ。それ以来、毎月ひと晩だけ、月は夜空から消えるようになった(北スマトラ、バタク族)。
月と妻と妹(コーカサス、オセット族の神話) 1人の男(=月)を、その妹(牙のある少女)と妻とが、「私のものだ」と引っ張り合う(*→〔呪的逃走〕1)。その結果、男は1ヵ月のうち2週間は妹のもの、2週間は妻のものになることで同意をみた。以来、今日にいたるまで、男(=月)が妹の手中にある時は、妹が男を食べるので月は欠けて行き、妻の手中にある時は、妻が男を完全な形に回復させるので月は満ちるのである。
『月と不死』(ネフスキー)「月と不死」 毎月、月は大空から姿を消して、3日を経て再び現れて来る。この現象は、イエス=キリストが死んで3日後に復活した(*→〔蘇生〕1の『ルカによる福音書』第24章)という、キリスト教の思想を生ぜしめた。
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