日周鉛直移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:32 UTC 版)
昼間は深海に住む魚が、夜間に餌を求めて浅海に移動することを日周鉛直移動(英:diel vertical migration)と呼び、中深層遊泳性の深海魚に多く見られる特徴である。深海魚に限らず、ヤムシやカイアシ類などの動物プランクトン、サクラエビなど多くの深海生物が日周鉛直移動を行う。日周鉛直移動を行う深海魚は比較的発達した浮き袋を持ち、一部の種類では鉛直移動に伴う水圧の変化に対応するため、空気の代わりに脂肪を蓄えるなどの適応が見られる。 主に中深層に生息するハダカイワシ類は日周鉛直移動を行う深海魚の代表的存在で、水深1,000メートルまでに分布する多くの種類が、夜間は海面に向かって移動する。深海での生息範囲と、浮上して餌をあさる水深は種類ごとに異なっており、互いに競合しないよう住み分けを行っている。この住み分けは「鉛直移動の梯子 (ladder of migrations)」とも呼ばれ、浅海の有機物を速やかに深海に運搬する重要なメカニズムとして機能している。 底生性深海魚の胃内容物からもしばしば遊泳性魚類が見出されることから、これらの深海魚も中層に餌を求めて鉛直移動を行うと考える研究者もいる。遊泳性魚類の方が海底に接近している可能性も指摘されているが、実際にソコダラ科の一種 (Coryphaenoides rupestris) が、海底から離れた中層トロール網によって多数漁獲された例がある。
※この「日周鉛直移動」の解説は、「深海魚」の解説の一部です。
「日周鉛直移動」を含む「深海魚」の記事については、「深海魚」の概要を参照ください。
- 日周鉛直移動のページへのリンク