数値計算と安定性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 21:04 UTC 版)
ほとんどの数学的方程式に対して、周期進行波解を解析的に求めることは不可能であり、そのため数値計算を行う必要が生じる。そのような偏微分方程式に対し、x, t はそれぞれ(1次元の)空間と時間を表す変数とする。このとき、周期進行波は進行波変数 z = x − ct の関数となる。この形式の解を偏微分方程式に代入することで、周期進行波方程式として知られる常微分方程式系が得られる。周期進行波は、そのような方程式系のリミットサイクルに相当し、数値解析の基盤を与えるものである。標準的な計算手法は、周期進行波方程式に対する数値接続(英語版)である。始めに、定常状態をホップ分岐点に置く接続を行う。これが、数値接続によってフォローすることの出来る、周期進行波解の分岐(族)の始点である。いくつかの(珍しい)ケースでは、周期進行波解の分岐(族)の終点はいずれもホモクリニックな解であり、そのようなケースでは偏微分方程式の数値解のような外的な始点を用いる必要がある。 周期進行波の安定性は、そのスペクトルを計算することで、数値的に調べることが出来る。偏微分方程式の周期進行波のスペクトルはすべて本質的スペクトルであるという事実があるため、より簡単に調べることが出来る。考えられる数値的手法として、ヒルの方法や、スペクトルの数値接続などが挙げられる。後者の手法を採用する利点として、安定な波と不安定な波の間の媒介変数空間の境界を計算出来ることが挙げられる。
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