政府の財政赤字とインフレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:11 UTC 版)
「財政再建」の記事における「政府の財政赤字とインフレ」の解説
現代貨幣理論では、そもそも失業率が高いときには貨幣の創造はインフレには結びつかないと考えられている。金本位制の時代には、高い失業率の状態では金の発掘は生産性の向上と雇用の創出につながった。そして現代的な貨幣システムは、金の発掘がマネーサプライに直接影響を及ぼしていたような金本位制とは大きく異なる。中央銀行が実体経済にお金を注入する基本的手法は公衆から国債を買い取ることだが、国債買い取り自体は「自発的な取引」である。というのも国債を保持する公衆が国債を売るよう強制されるわけではないからである。 オリヴィエ・ブランシャールとスタンリー・フィッシャーは、財政赤字の大きさとインフレ率との間に強い正の相関がみられることはあまりないと指摘している。また、1970年代から80年代初期にかけて米国が経験したインフレは、OPECが原油価格の引き上げを狙って産油量を減らしたことにある。マネーサプライは上昇したが、あくまで原油供給減少に引き続いて起こったのであって、マネーサプライ上昇自体が直接物価上昇につながったわけではなかったという反論が存在する。 ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツは、インフレはその抑制に多大なコストがかかるという説自体に懐疑的であり、また中央銀行の独立性が必要だとする説も神話であると述べている。
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