支援者へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 05:32 UTC 版)
カサンドラ症候群とおぼしき人は、わかろうとすればするほど相手の欠点を暴き出してしまい、相手を愛している自分さえも時に信じられなくなるほどの痛みが生まれる。それを単にうつとかパニック障害という言葉で括らずに、周囲の評価や自分自身の評価・価値観が根底から揺らぎ、崩壊しそうにあるほどの危機的状態であると理解する。カサンドラ症候群といった状態があるという事実を知っておくことで、支援者は、当事者や配偶者を過度に励ましてしまい結果的に追い詰める、傷つけるという過ちをしないで済む。(田中康雄) カサンドラの状態になるのは、誰が悪いわけでもない。特性を持っている人が悪いわけでも、それを見抜けなかった人が悪いわけでもない。もちろん、それらを理解できない人が悪いわけでもない。ただ「特性が影響している」ということだけをまずニュートラルに理解することが必要だ。そうでなければ夫と妻の双方が不幸になるからだ。しかし、カサンドラ状態に至るまでには極端に共感性を欠く夫の言動があることも事実であり、モラルハラスメントとして認めることもできる。専門家はこの点をよく認識しておく必要がある。なぜなら、アスペルガー症候群の特性の理解を優先してしまうと、妻がそれによって受けた心の傷と抱えてきた怒りを軽く見積もってしまうことになりやすいからだ。 また、大切なことは、妻が夫の極端な言動を特性として理解し、たとえこれからの暮らしの中で夫の言動に備えることができるとしても、これまでにその言動でカサンドラが傷ついたことは事実であるということだ。専門家や周囲の人々がその傷の深さを忘れてはならない。(宮尾益知、滝口のぞみ)
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