揺籃の形式について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 09:21 UTC 版)
オトシブミ類の揺籃の作り方にはいくつかの方法があり、種によって決まっているが、本種の場合、複数の作り方を併用していることが知られる。多くの種は単一の作り方しか行わず、このように複数の作り方を使うものは例が多くない。 オトシブミ類が揺籃を作る際には、一般的には葉の縁から切れ目を入れ、そこより先を巻くのであるが、この際に片方からのみ切れ目を入れるのを単裁型、両端から切れ目を入れるのを両裁型と言うが、本種ではその両方が見られる。 単裁型においては雌は葉の端から主軸にほぼ垂直な線で切り込んでいき、主脈を越えたところまで切れ目を入れて止まり、葉が小さい場合には縁近くまで切り込む。次に主脈の葉裏の側にある程度一定の間隔で噛み傷を付け、主脈を中心に葉の表側を重ね合わせるように折り込む。これによって裁断線より先端側には二次的な表裏が出来るが、この二次的な裏面を内側にして巻き上げてゆき、裁断線まで巻き上げると二次的表面の最上部分を裏返しに反転させ、それによって本来の葉の表側が外側に向く。産卵は葉の先端側に行われる。 両裁型では、最初の切れ込みにおいて片方の葉の縁から主脈まで切り込んだ後、反対側の葉の縁からやはり主脈まで切り入れる。それ以降、主脈に噛み傷を付け、主脈を中心に表側を合わせるように折り畳み、巻き込んでゆく手順は単裁型とほぼ同じである。 このほか、本種では無裁型も知られている。これは葉の縁から切れ目を入れることなく、葉柄に近い主脈の部分に噛み傷を入れ、そこから先に向かって一定間隔で噛み傷を作るもので、そこから先は両裁型と同様に葉を二つ折りにした後に巻き上げてゆくものある。また両裁型と無裁型においては、揺籃ができあがった後、雌は揺籃の付け根の主軸をかみ切り、揺籃を落下させるのに対して、単裁型の揺籃は葉にくっつけた形で残す。
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