援用権者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 17:11 UTC 版)
時効は誰でも援用できるわけではなく、時効の援用をすることができる者のことを援用権者という。民法の規定では、時効を援用することができるのは「当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)」だけであると規定している(145条)。 ここにいう「当事者」とは、時効によって直接利益を受ける者、すなわち取得時効によって権利を取得し、消滅時効によって権利の制限または義務を免れる者をいい、間接に利益を受ける者は含まれない(大判明43年1月25日民録16・22)。 判例上、以下の者が「当事者」に該当するとされている。 保証人 物上保証人 抵当不動産の第三取得者 連帯保証人 詐害行為の受益者 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、消滅時効の援用権者として判例法理で認められている保証人、物上保証人、第三取得者については明文化された。 一方、後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権が時効によって消滅しても、それによって受ける利益は抵当権の順位上昇による反射的利益にすぎないことを理由として、援用権者には当たらないとされている(最判平11年10月21日民集53・7・1190)。2017年の民法改正後(2020年4月1日法律施行)も、一般債権者や後順位抵当権者は援用権者には当たらないという判例の立場は維持されると考えられている。
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