換気の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 09:24 UTC 版)
呼吸不全の患者においては、「吸気圧」と「1回換気量」、「吸気時間」と「一定時間(例えば1分間)」はそれぞれトレードオフの関係にある。旧世代の人工呼吸器はそのうち2つを固定し、残りのひとつのパラメータを犠牲にするという様式が殆どであった。これが以下の2つである。 VCV Volume-controlled ventilation、ボリュームコントロール換気、従量式換気 1回換気量の低下はCO2の貯留と、呼吸器離脱の失敗を意味する。そのためあらかじめ決めた換気量を決められた吸気時間で注入する。ただし、気道内圧が安全限界に達した場合はその限りでない。 PCV Pressure-controlled ventilation、プレッシャーコントロール換気、従圧式換気 気道内圧の上昇、ことに酸素分圧の上昇は肺傷害をもたらす。気道内圧の安全限界が低い患者においては、一定の圧で空気を注入し、一定時間内に目標の吸気が得られなくても制限時間に達したら呼気相に転じる。 しかし現在では、優先するパラメータをひとつ決めれば、それ以外のパラメータを柔軟に変える(吸気時間を延長するなど)によって呼吸器離脱や肺傷害防止を図る方式が各社から発売されている。だが、新機種のために割高なのと、アルゴリズムが複雑なために各社とも独自のものを打ち出しており統一性が無いのが現状である。 PEEP Positive end-expiratory pressure、呼気終末陽圧型人工呼吸 肺胞の虚脱を防ぐため、気道内圧を大気圧より高い状態に保つ機能である。通常は大気圧+3~10 cmH2Oで充分であり、それ以上高いと息を吐き出すことが出来なくなってCO2貯留による呼吸性アシドーシスを起こす。患者が急激に息を吸ったりした場合は呼吸器が追いつかず、設定されたPEEPが保てないことがある。 HFOV 高頻度振動換気 解剖学的死腔量よりも小さい一回換気量で高頻度の換気を行う呼吸管理方法。気道内圧変動が小さく肺損傷を最小限に抑える。血圧、頭蓋内圧の呼吸性変動を抑制する。新生児にも使用されている。
※この「換気の種類」の解説は、「人工呼吸器」の解説の一部です。
「換気の種類」を含む「人工呼吸器」の記事については、「人工呼吸器」の概要を参照ください。
- 換気の種類のページへのリンク