接岸回遊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/12 04:05 UTC 版)
遊泳力の弱い仔魚は浮遊生活の初期に潮流・海流の影響を強く受け、広い範囲の海域に拡散する。沿岸域に分布する海産真骨類の場合、浮遊生活を終える時期には本来の生息場所である海岸近くに戻る行動がみられ、これを接岸回遊と呼ぶ。この時期の仔魚は能動的な遊泳を可能にする身体構造を獲得しているほか、新たな生育環境に対する形態的・行動的適応が発現するなど、接岸回遊の開始は稚魚期への移行と重なる部分が多い。 接岸回遊は初回摂餌と同様に、仔魚の生き残りにとって重要なイベントである。漂泳生活の間に海岸から遠く離れてしまった仔魚は、接岸できずに死亡する可能性が高まる。また、沿岸に達した後も、限られた生育場所をめぐる他の仔稚魚との競合に勝ち残らねばならない。さらに、生存に適した水温範囲を超えて運ばれた仔魚は、たとえ接岸回遊に成功したとしても、最終的には冬(あるいは夏)を越えることができず死亡する(死滅回遊)。
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