探知能力の向上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 14:30 UTC 版)
同機は、制式化から太平洋戦争の終結まで装置自体に大きな改良は行われなかったが、一方で装備艦の各種機関などから発生する雑音を抑えることで可聴距離を向上させる試みが実施された。 代表的な例が海防艦や駆潜艇の主機および補機への”防振ゴム”(防振間座とも)の装着であり、1942年(昭和17年)1月に海軍技術研究所音響研究部を中心として学識経験者も含めた防振ゴム研究委員会が発足し、たまたま入手したドイツのフェニックス社製の防振材金属ゴムの説明書を参考として研究に着手した。1943年(昭和18年)末から海防艦を中心とする対潜艦艇の所要補機に防振対策が施され、1943年10月に海防艦「御蔵」の80kwディーゼル発電機に防振ゴムを装着したところ可聴距離が500mから3000mと向上し良好な成績を示した。1945年(昭和20年)からは主機に装備しての試験も実施され鵜来型海防艦「保高」の主機に平角型90mm×180mm×60mm(ゴム部厚40mm)の合成ゴム製防振ゴムを加重による圧縮が0.1mm程度になるように装備して潜水艦聴音実験をおこなった結果、防振ゴムを使用しない場合と比べて航走中の海中騒音量が約10デシベル減少し、未装備の同型艦「奄美」の可聴距離が1500mだったのに対して「保高」は8500m(9000mとも)と言う結果を示して聴音機の能力に格段の向上が認められた。
※この「探知能力の向上」の解説は、「九三式水中聴音機」の解説の一部です。
「探知能力の向上」を含む「九三式水中聴音機」の記事については、「九三式水中聴音機」の概要を参照ください。
- 探知能力の向上のページへのリンク