探石行とは? わかりやすく解説

探石行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/14 07:52 UTC 版)

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探石行(たんせきこう)は、つげ義春による漫画作品。1985年3月『COMICばく6』(日本文芸社)に発表された全29頁からなる短編。1987年7月と1988年6月発刊の『無能の人』(日本文芸社)に『石を売る』『無能の人』『鳥師』『カメラを売る』『蒸発』とともに収録された[1]

解説

『鳥師』に続く『無能の人』シリーズ4作目。と息子の3人での家族旅行を兼ねた探石行。それがユーモアを盛り込み悲喜劇的なタッチで描かれる。前作『鳥師』までは主人公の顔は描かれることはなかったが、この作品では初めて描かれた。家族旅行という展開上、顔を描かずにはおれなかったとつげは述懐している。作品発表の数年前に家族で山梨県の桂川を訪れているが、この際には漫画化の構想は全くなかった。旅行では、ぼろぼろの鉱泉宿を訪れたらしいが、宿泊したわけでもなく、そのときの材料は使われておらず、単に風景と舞台として利用されているだけである。作中に水溜りを渡るシーンがあるが、これは実際にあった。息子を背負わねばならない状況となったため、誰が背負うかで親子3人でじゃんけんをするが、息子が負けてしまい、助川は妻の激しい非難を浴びる。しかし、このシーンは全くの作者の作り話であり、にかまれる場面、宿屋に泊まったことなどは全くの空想である。川辺で寝そべるシーンではモミジの葉が降るが、これは良寛辞世の句である「うらを見せ おもてを見せて 散る紅葉」をイメージしたもので、寂莫としたイメージを入れたかったという[1]

つげは『無能の人』シリーズを描いていた最中はかなり乗っており、この作品でもかなり多くの案が盛られている。つげ自身、緊張感が強く一作品描く度に疲れたと告白している。権藤晋はつげとの対談の中で「これを描きながらつげさん自身が楽しんでいるんでしょうね。虚無僧を出してくるところなどは、『つげさんやってますね』という感じがある」と述べている。つげはそれに対し、「後で考えよく虚無僧なんか思いついたなという感じ、ストーリーがうまくいっているときには、ストーリーがかってに動いて発展してくれますね」と発言した[1]

あらすじ

主人公助川助三は商売繁盛を目論み、妻と長男とともに甲州へ名石探しの旅に出た。最初は妻も上機嫌であったものの、ことはスムーズに運ばず、途中からは夫婦げんかの連続となる。宿泊した鉱泉宿は雰囲気も悪く妻は益々不機嫌に。宿の前に虚無僧が現れ2人はわずかの喜捨をする。風呂で助川は「虚無僧って儲かるのかな」と洩らす。「私、虚無僧になるのなんか嫌よ」と激怒する妻。布団に入った後、妻が呟く。「これから私たちどうなるのかしら」。どこからともなく聞こえてくる虚無僧の吹く尺八の音[1]

脚注

  1. ^ a b c d つげ義春漫画術』(上・下)(つげ義春、権藤晋1993年ワイズ出版ISBN 4948735183ISBN 978-4948735187ISBN 4-948-73519-1ISBN 978-4-948-73519-4

参考文献


探石行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 00:51 UTC 版)

無能の人」の記事における「探石行」の解説

詳細は「探石行」を参照 古本業者山井に、思いがけなく助川原画欲しと言う客があり、3万円臨時収入を得る。助川商売繁盛目論見採石家族旅行兼ねて甲州出かける当初は妻も上機嫌だったが、ことがスムーズに運ばなくなると夫婦げんか連続となる。なんとかたどり着いた鉱泉宿はムードもなく妻はさらに不機嫌に。宿前に虚無僧現れ助川は「虚無僧って儲かるのかな」とつぶやく。布団入った妻が「これから私たちどうなるのかしら」と漏らす。どこからか虚無僧の吹く寂しげ尺八の音が…。

※この「探石行」の解説は、「無能の人」の解説の一部です。
「探石行」を含む「無能の人」の記事については、「無能の人」の概要を参照ください。

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