按察使を扱った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 06:06 UTC 版)
「按察使 (中国)」の記事における「按察使を扱った物語」の解説
李宝嘉『官場現形記』第23回には、ある按察使が上告案件を取り上げた際、へまな取り調べを姦婦に行って失敗する笑い話がある。ただし落ちはない。しかし具体的な取り調べのやりとりが描写されていて、興味深い内容となっている。 清代の司法制度は、現代のものとは異なっている部分があるものの、下級審の不正を許さぬよう、監査に監査を重ね、細かな報告を期限付きで義務づけていることから分かるように、それなりの整合性・妥当性を持った体系を有していた。死刑などにも慎重であって、制度的に法務大臣クラスどころか、皇帝の承認が無ければ処断されなかった。しかし現実には骨抜きにされることが多かったことが上記『官場現形記』や『儒林外史』を紐解くと明らかになる。この二書はフィクションではあるが、所謂暴露小説に分類されるもので、登場人物などは架空であっても、その官僚たちの腐敗した様は現実を写し取ったものに他ならない。 按察使など中級審は、下から上がってきた案件について不当として斥けることもできた。これを「駮」という。しかし実際には下級審の官僚たちの面子、中国は面子の国である、を考慮し覆すことはまれであった。上訴してきたものを宥めたり、脅したり、あるいはその案件を放置し棚上げするなどは日常的であったといわれる。そこには官が官を庇う構造が厳然とあった。最高権力者である皇帝が厳正に裁判をするよういくら上諭を出しても、ついに官僚同士の癒着が引き起こす不正は無くすことができなかったのである。
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