拙速立法の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
仏民法典をナポレオンによる急速立法とみるときは、延期派が法典編纂の拙速を批判したのはドイツが慎重立法だから日本もそうすべきという安易な論法だと非難され、むしろ江藤時代の急速立法が妥当だったにもかかわらず不当に旧民法まで遅延したと主張される(福島)。 しかし、仏民法典もまた、1453年にシャルル7世が慣習法の成文化を命令して以来の長い歴史の中で築かれた実質的意味の民法の文字化に過ぎないとも考えられる。 このような見方からすれば、ド・ラ・マズリエールが指摘したように、国内法統一を優先するなら慣習の収集・研究に長い時間をかけるべきだが、条約改正を優先すれば外国法を大急ぎで鵜呑みにするほか無いことになり、政府が後者を重視した以上、ボアソナードが慣習無視の批判を受けたのは必然だったことになる。 もっとも、明治民法もまた速成法典だったので、次のような評価もある。 民法のみならず商法もさうですが、殊に民事訴訟法と云ふやうな形式的の法律がすらすらと行はれたのですから…日本人は中々偉いと思って感服して居るのです。…外国法の思想に依った法律を消化して誤りなく適用している。…ドイツ民法の草案の出来る時に歴史派の主張した議論と云ふものは我民法の場合には適用しない。 — 仁井田益太郎 民法がその反証を挙げたことになる。 — 穂積重遠
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