扇情的記事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 03:51 UTC 版)
この間、新聞各紙は事件を扇情的に報じた。 黒衣に白袴で「死のう」と叫ぶ奇妙な集団の話題は、地元新聞にとって格好の素材となった。「テロ? 邪教?/黒装束の一隊 昭和怪奇の出現」(東京朝日新聞神奈川版)など、幾分興味本位で事件を取り上げた。その数日後には、テロの確証が挙がらないことから、「とんだ人騒がせ」として一旦は沈静化する。 しかし7月19日、捜査に進展がなかったにも拘らず、「陰謀発覚」と全国紙が一斉に報じた。西園寺公望や田中智學、妹尾義郎などの抹殺、増上寺や身延山の焼き討ちを図ったとされた。「単なる宗教団体」として片付けられたはずの青年党は、ここにきて再び「テロ集団」となった。「日蓮会血盟団」(東京日日新聞全国版)、「血盟日蓮怪集団」(時事新報全国版)、「日蓮会血盟青年部」(都新聞全国版)のように、彼らを血盟団に擬える記事も多かった。そしてこの頃、「死のう団」なる名が当人の意思とは関係なく付けられる。 これらの要人暗殺計画は警察側の調書に基づき報道されたものだが、のちに事件を取材した保坂正康は「テロ計画は全くなかった」と結論し、血気にはやる1名の男が増上寺焼き討ちを計画しただけだとしている。なお、焼き討ちの計画を知った江川は、男に無銭飲食の罪を着せるという手荒な手段を用いて計画を止めさせているが、計画を狂わされ決行日を留置場で過ごす羽目となった男は、日蓮会を去った後もこれを諦めず、遂に捕縛されている。 「江川は多くの女性信者と関係した上、金銭を搾取している」と書き立てる記事も目立った。「好色漢の盟主桜堂」などの扇情的な見出しが連日紙面に躍り、日蓮会の社会的信用を著しく傷付けた。
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