心理的逃避説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 02:19 UTC 版)
死に直面し、ストレスを感じた心が生み出す心理逃避的な幻想が臨死体験だとする説がある。これと似た解釈として解離性障害説がある。アイオワ大学のラッセル・ノイエスは突然の死に直面させられた人々の心理的変化を調査し、「時間間隔の変容」や「記憶のフラッシュバック」「浮遊感」「幻覚」など臨死体験と似た現象が起きていた事を認めた。 しかし、この説のように「心理」が原因と考えると、自分の死を予期していなかった人や、自覚する間もなく事故や発病が起こり、瞬時に無意識状態に落ちた人にも臨死体験は起こるという事の説明が難しい。また、死の恐怖に対する現実逃避が目的であるならば、死者ではなくまだ生きている者の姿が頻繁に現れる方が自然であるとも言える。特にインドでは、枕元に現れたヤムラージ(死神)に対して、少なからぬ体験者が怖れを抱き、同行することを拒んでいる。 また、心理的危機が起こす離人症や解離感は、不安やパニック、現実感の喪失など臨死体験とは正反対の要素も引き起こす。とくに危機の間際の心理状態によって、体験内容は大きく異なるものとなる。ノイエスの調査はあくまでも、危機を感じたが実際に死ななかった者が対象になっている。
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