形成と安定性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/06 08:43 UTC 版)
ステムループ構造の形成は、ヘリックス(らせん、ステム)領域とループ領域の安定性に依存している。ステムループが形成されるための第一の必要条件は、折り畳まれて対合した二重らせんを形成しうる相補的配列の存在である。このヘリックス部分の安定性は、ヘリックスの長さ、含まれるミスマッチまたはバルジ(対合相手のない塩基)の数、対合した領域の塩基組成によって決定される。ミスマッチまたはバルジは、特に長いヘリックスの場合は少数であれば許容される。塩基組成に関しては、グアニン-シトシン塩基対は3つの水素結合を形成するため、2つしか形成されないアデニン-ウラシル塩基対よりも安定である。RNAのアデニン-ウラシル塩基対で形成される水素結合は、DNAのアデニン-チミン間の結合と等価である。塩基の芳香環のπ結合を特定の配向に整列させるスタッキング相互作用も、ヘリックスの形成を促進する。 また、ループ領域の安定性もステムループ構造の形成に影響を与える。3塩基よりも短い「ループ」は立体障害のため不可能であり、形成されない。二次構造を持たない長いループも不安定である。熱力学的に最も安定なループの長さは4から5塩基である。テトラループ(英語版)として知られるUUCGの配列からなるループはよく見られ、この配列はループを構成するヌクレオチド間のスタッキング相互作用のため特に安定である。
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