強盗傷人罪・強盗殺人罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 02:01 UTC 版)
「強盗致死傷罪」の記事における「強盗傷人罪・強盗殺人罪」の解説
刑法上、強盗致死傷罪には長い刑期が設定されており、特に死亡の結果が発生した場合は死刑又は無期懲役という重罰が規定されている。これは刑事政策上の理由によるものとされる。また、この法定刑の重さから、強盗の結果的加重犯の場合(前段の犯罪については強盗致傷罪、後段の犯罪については強盗致死罪と呼称される)のみならず、負傷または死亡の結果につき行為者に故意があった場合(それぞれ強盗傷害罪、強盗殺人罪と呼称される)も240条のみが適用されると考えるのが判例・通説である(大連判大正11年12月22日刑集1巻815頁)。この説に立てば殺人罪(199条)や傷害罪(204条)は適用されないことになる(法条競合)が、これらと観念的競合になるという有力説も存在する。本条における傷害の意義については、傷害罪のそれとは異なり、痣や発赤などの軽微な傷害は含まず、医師の治療を一般に要する程度のものでなければならないとする有力説が存在する。強盗における暴行、脅迫にごく軽微な傷害は強盗に含まれるとするのがその理由であり、下級審判例は分かれていたが、最高裁はこれを否定し、傷害罪における傷害と同様に解している(最判平成6年3月4日)。なお、この解釈論は強盗傷害の場合に後述する通り執行猶予をつける余地がないことが一つの論拠であったが、現在では平成16年法改正により執行猶予がつく余地が認められるようになっている。
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