廷行事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/29 04:31 UTC 版)
1975年に発見された睡虎地秦簡の中の1つ『法律答問』に「廷行事」もしくは単に「行事」と書かれた記事が登場した。行事はかつて発生した出来事を意味しており、故事とほぼ同義語である。また、張家山漢簡の一部として発掘された『奏讞書』との比較により廷は廷尉の意味と考えられること、廷行事は「廷尉故事」のことであり、『法律答問』・『奏讞書』ともに中央でまとめられた廷行事を材料の一つとして編纂された判例集であったと考えられている。「法律答問」に記された廷行事を見ると、必ずも当時の法令に基づいたものではなく、法令の範疇を越えた解釈あるいは法令に規定のない事案に関しても判決を下し、それを条文状にしたものを廷行事に加えている。当時は罪刑法定主義ではなく、法令の規定にない事項やそのまま適用した場合に問題が発生する事案に関しては担当者が独自の判断で刑罰を科したり加減を行って判決を下していた。こうしたの判例が中央の廷尉の下で選別されて廷行事としてまとめられて、各地の法廷においては現地における判例や実際の法令と同じように扱われたと考えられている。なお、『旧唐書』・『太平御覧』には『廷尉決事』、『隋書』には『魏廷尉決事』と呼ばれる書があったことが記されている。両書とも現存はしていないものの、『太平御覧』に引用された『廷尉決事』の逸文より、漢や魏の廷行事(廷尉故事)を集めて編纂した書物であったとみられている。
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