序章・時代背景
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より詳細な時代背景についてはエル・シッドを参照 詩の冒頭(唯一写本の第1葉)は逸失しているが、その内容は、ピダル編本や長南邦訳などでは『二十王年代記(スペイン語版)』や『第一総合年代記(スペイン語版)』を元に復元されている。その要約は以下のとおりである: カスティーリャ国のアルフォンソ王は、自分に朝貢の礼をとっているイスラム教諸王国〔タイファ〕から年貢をとりたてるべく、エル・シッドをセビーリャ王国に派遣。同じ用向きでガルシーア・オルドーニェス伯をグラナダ王国に遣わしていた。 ところがガルシーア・オルドーニェス伯ら一党は、グラナダ王国と結託して、セビーリャに攻め入ったので、エル・シッドはアルフォンソ王の庇護下にあるこの国を守るべく奮戦。侵略軍をカブラ(スペイン語版)で撃破。エル・シッドはガルシーア・オルドーニェス伯爵ら貴族もいっときのあいだ捕虜としたので、王の股肱の臣たる彼らの怨恨を受ける。結果、伯爵らの讒言によってエル・シッドは王の信を失う。 アルフォンソ王は、エル・シッドが使命通り年貢を納めたことに、いったんは「たいへん満足」したのであったが、エル・シッドとは過去のしこりがある王は、讒臣たちを信じるようになった。過去のしがらみとは、エル・シッドはもともとは前王サンチョ2世の重臣であったが、その王の暗殺を機に弟のアルフォンソ6世が登極したことにちなむ。新王に仕える条件としてエル・シッドら旧臣は、謀殺にはなんら関わっていないという宣誓をアルフォンソ王に求めたが、サンタ・ガデーア教会(英語版)におけるその儀式で、エル・シッドはしつように何度もその宣誓を復唱させ、そのときの屈辱を王は後日も拭い去れなかったという。
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