平滑リアクトルと高調波フィルター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/21 02:41 UTC 版)
「直流電化」の記事における「平滑リアクトルと高調波フィルター」の解説
整流回路で整流された電流は脈流であり、そのままでは直流モータに適さない。そのため平滑リアクトルを直列に挿入してリップル(脈動)分を阻止した後、電車線へ向けて送電される。 平滑リアクトルはリップル周波数に比例してインピーダンスが大きくなるため、同じリップル電圧に抑えようとする場合、リップル周波数が高いほうがサイズの小さなリアクトルを使用できる。6相整流と12相整流を比べるとリップル電圧は4半分より更に小さくなり、リップル周波数は倍になるので12相方式は脈動抑制に大変有効である。 更にリップル分による通信線への障害軽減のため、平滑リアクトルの負荷側に直列共振による高調波フィルター群を設置して脈動分を短絡している。 6相式で基本周波数の6倍、12倍、18倍、24倍の高調波(50 Hz系で300 Hz×N、60 Hz系で360 Hz×N)を、12相式で基本周波数の12倍、24倍の高調波(50 Hz系で600 Hz×N、60 Hz系で720 Hz×N)を直列共振回路で短絡している。しかし負荷側である電車線のインピーダンスが極めて低いためか実際にはあまり有効に機能していない様であり、撤去が検討される場所もあり、逆に誘導障害が現れれば現フィルター後段にもう1段の逆L型LCフィルターが必要になる。 フィルター定数例平滑リアクトル=0.56mHL [mH]C [μF]fr [Hz]50 Hz比2.3 122 300.5 6.0 2.85 25 596.2 11.9 1.26 24 915.2 18.3 0.93 16 1,304.7 26.1 国鉄型6~12相整流フィルター日本国有鉄道規格JRS31735-2G-14AR電力濾波器(直流1500V用)平滑リアクトル=1.1~1.3mH、+150%負荷で1.0~1.2mH(回路例と比べ24次吸収LCが無い)\次数L [mH]C[μF]実効抵抗 Ω定格電流 A50 Hz60 Hz6相6 1.2 0.82 240 ≦0.07 80 12 0.4 0.27 180 ≦0.10 20 18 0.25 0.18 120 ≦0.15 20 12相12 0.4 0.27 180 ≦0.10 40
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