平成12年台風第14号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 01:37 UTC 版)
台風第14号(Saomai、サオマイ) | |
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台風第14号
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発生期間 | 2000年9月2日 21:00 ~16日 15:00 |
寿命 | 13日18時間 |
最低気圧 | 925 hPa |
最大風速 (日気象庁解析) |
50 m/s (95 knot) |
最大風速 (米海軍解析) |
140 knot |
被害総額 | 248億円 |
平均速度 | 17.0 km/h |
移動距離 | 5,623 km |
上陸地点 | 朝鮮半島 |
死傷者数 | 死者10名、行方不明者2名、負傷者118名 |
被害地域 | 日本・韓国など |
プロジェクト : 気象と気候/災害 |
平成12年台風第14号(へいせい12ねんたいふうだい14ごう、アジア名:サオマイ/Saomai[1])は、2000年(平成12年)9月に九州に接近したのち朝鮮半島に上陸し、西日本から東海地方に被害をもたらした台風である[2]。激甚災害に指定された[3][4]。
概要

9月2日にマリアナ諸島近海で発生した台風14号は西に進み、12日19時過ぎに沖縄本島を通過した[2][5]。その後、東シナ海を北東進し、16日15時に朝鮮半島北東岸で温帯低気圧に変わった[6][7][8]。
一方で、7日頃から本州付近には前線が停滞しており、11日から12日にかけて、前線に向かって台風14号の東側を回る暖湿気流が流れ込んだため、前線の活動が活発化し、愛知・三重・岐阜県の東海地方を中心に記録的な豪雨となった[6][9][10][11][12]。名古屋では11日の日降水量が、平年の9月の月降水量の約2倍となる428mmに達し、2日間の合計降水量は567mmとなった[13][14][15]。また大雨は静岡県・山梨県にも及び、これらの広い地域で2日間の合計降水量が200~400mmとなったところもあった[16]。期間降水量は、三重県宮川村で1,090mmに達したほか、四国から東海地方にかけて800~1,000mmとなった[6]。また、沖縄県那覇市では、最大潮位偏差56cmを観測し、当時としては観測史上最大の記録となった。
この台風の影響で発生した豪雨による災害は「東海豪雨」と呼ばれるようになり、後に激甚災害にも指定された[17]。
被害
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韓国の蔚珍郡における台風の被害
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この台風による災害で、日本では死者10人・行方不明者2人・負傷者118人の人的被害が確認されたほか、住家全壊30棟・半壊176棟・一部損壊185棟・床上浸水22,885棟・床下浸水46,342棟などとなった[6]。また、被害総額は248億円にのぼった[18]。
備考
2000年は、台風の日本への接近数が15個と比較的多かった割には[19]、上陸した台風は1個もなかった。しかし、この台風を含め上陸こそしていなくとも本土に接近した多くの台風による影響は大きかった[20][21]。
脚注
- ^ 命名国:ベトナム・意味:金星
- ^ a b 「台風14号:12日午後にも沖縄本島が暴風域に」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ “「平成12年9月8日から同月17日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害の指定並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」について”. 内閣府防災. 2025年4月20日閲覧。
- ^ “平成12年秋雨前線と台風第14号に伴う大雨による被害状況について”. 内閣府防災 (2001年11月27日). 2025年4月20日閲覧。
- ^ 「台風14号:11日午後6時現在、沖永良部島の南東を西北西に」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ a b c d “停滞前線、台風第14・15・17号 平成12年(2000年)9月8日~9月17日”. www.data.jma.go.jp. 2020年4月17日閲覧。
- ^ 「台風14号:15日夜には長崎・五島地方に接近しそう」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月14日。オリジナルの2001年1月9日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「台風14号:長崎県福江市の南西約280キロで北東に進む」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月15日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「大雨:終日混乱、東海道新幹線 12日も降り続く恐れ」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「大雨:東海地方で浸水や停電の被害相次ぐ 竜巻も続発」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「大雨:寝台特急など6本を運休 JR東日本」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「大雨:愛知県東浦町でバス立ち往生 多数取り残される」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月11日。オリジナルの2001年4月18日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「東海豪雨:一夜明け、その爪あとの大きさを露わに」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月12日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「豪雨:東海3県や静岡市で観測史上最も激しい雨」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月12日。オリジナルの2001年1月16日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ “平成12年9月東海豪雨による水害記録”. 愛知県ホームページ. 愛知県. 2025年4月3日閲覧。
- ^ 「大雨:死者7人、行方不明2人 被害23都府県に」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月12日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「豪雨:死者4人、行方不明4人、負傷者29人 警察庁調べ」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月12日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ “デジタル台風:台風200014号 (SAOMAI) - 災害情報”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年4月17日閲覧。
- ^ “気象庁|台風経路図2000年”. www.data.jma.go.jp. 2020年8月2日閲覧。
- ^ 「台風14号:14日夕にかけ強い雨の恐れ 九州中・南部」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月13日。オリジナルの2001年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
- ^ 「台風14号:九州南部と長崎、佐賀、福岡が強風域に」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年9月13日。オリジナルの2001年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年4月3日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 災害をもたらした気象事例(停滞前線、台風第14・15・17号) - 気象庁
- デジタル台風:台風200014号(SAOMAI)- 総合情報(気圧・経路図) - 国立情報学研究所(北本朝展)
- 韓国のテレビニュース
- KBSニュース9 (2000年9月15日)
- MBCニュースデスク (2000年9月15日)
- KBSニュース9 (2000年9月16日)
- MBCニュースデスク (2000年9月16日)
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台風 |
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