岸本マチ子とは? わかりやすく解説

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岸本マチ子

岸本マチ子の俳句

いつか山霧姉は姉のままで老い
いつも断崖おんおん裸身みがくなり
うりずんのたてがみ青くあおく梳く
かぶと虫今日は私服で空を飛ぶ
さざんかの寝ぐせを直す母である
しばらくはおかめこおろぎでいるわたし
たんぽぽの声を発する訣れあり
つまずけば身近になりぬつくしんぼ
みんみんのみんみんこぼす被子植物
もずく食べ春夕焼を生みたくなる
アリクイに覗かれている胸の蒼
エイサーやみぞおちまでも怒濤して
ゴリラにもど忘れはある梅雨晴間
ヒト科だってかっこうと鳴く眞昼
ペンギンを見て来て川幅広くなる
ポポポポとタンポポ笑う兎跳び
一人咳けば数人咳いて火葬おわる
三光鳥抱き合う飢餓感やわらかし
佗助に降りやまぬものくれてやる
北風と吐喝喇列島じゅずつなぎ
喉仏ずりあげて鳴く大鴉
喉元を過ぎるは悲なり夜汽車なり
夜鷹いてこの日人参ばかり買う
帽子買う十一月の耳をたて
平手打ちかすかに雪の匂いして
思想などごしごし洗え天の川
昂るにあらずすっくと曼珠沙華
春の歌うたえば解けゆくもののあり
望郷の大あくびして桃色カバ
歳晩の亀裂静かな屠殺場
汽笛鳴らし頭の中まで青嵐
沖縄忌戦火の絶えない地球にいて
泥人形声たて笑う桃の花
海ほおずき鳴らしてだんだん風になる
海図めくる指先までも朧なり
火宅より溢れんとしてこぶし咲く
秋夕焼くわえて抜き手切っている
稲妻に刺されし裸身透きとおる
竜巻をたたんで眠る星月夜
精悍も憂国もなくねこじやらし
花かんな昭和の色を消し忘れ
花烏賊の自爆するときりりと鳴く
花衣無残なものまで脱いでしまう
若夏を背泳ぎでゆく東支那海
茅の輪くぐる人体すこしゆるめにし
茎立ちの胸の蛇口をきつくしめ
菜の花や曲りきれずに針の山
蒙古斑あおあおとある罌粟の花
虹を見る狂いはじめの指をたて
蟬鳴いてどーんとせばまる死の歩幅
 

岸本マチ子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/03 14:05 UTC 版)

岸本 マチ子
きしもと マチこ
誕生 (1934-11-29) 1934年11月29日
日本 群馬県伊勢崎市
死没 (2023-07-29) 2023年7月29日(88歳没)
日本 沖縄県那覇市
職業 俳人
詩人
言語 日本語
最終学歴 中央大学
ジャンル 俳句
主な受賞歴 第1回山之口貘賞
第17回小熊秀雄賞
第44回現代俳句協会賞
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岸本 マチ子(きしもと マチこ、1934年11月29日 - 2023年7月29日)は、日本俳人詩人である[1]

経歴

1934年11月29日、群馬県伊勢崎市に生まれる[2]中央大学卒業[3]。1958年、結婚を機に沖縄県に移住した[4]琉球放送アナウンサーを経て、雑貨卸売会社に勤務した[5]

1978年に詩集『黒風』で第1回山之口貘賞、1984年に詩集『コザ中の町ブルース』で第17回小熊秀雄賞を受賞した[3]。1989年に俳誌『WA』を創刊、主宰した[4]。1994年に第44回現代俳句協会賞を受賞した[3]

2023年7月29日、肺炎のため沖縄県那覇市の病院で死去した[5]。88歳没[6]

著書

単著

  • 『与那国幻歌』(天籟通信、1974年)
  • 『黒風』(オリジナル企画、1978年)
  • 『コザ中の町ブルース』(花神社、1983年)
  • 『サシバ』(花神社、1985年)
  • 『海の旅 篠原鳳作遠景』(花神社、1985年)
  • 『岸本マチ子詩集』(土曜美術社出版販売日本現代詩文庫〉、1990年)
  • 『イチカラン・イチチ』(花神社、1990年)
  • 『花神現代俳句』(花神社、1997年)
  • 『ヒミコ』(花神社、1997年)
  • 『縄文地帯』(本阿弥書店、1999年)
  • 『曼珠沙華』(毎日新聞出版、2001年)
  • 『花でいご』(花神社、2003年)
  • 『通りゃんせ』(角川書店、2008年)
  • 『一角獣』(東京四季出版、2010年)
  • 『吉岡禅寺洞の軌跡』(文學の森、2013年)
  • 『鶏頭』(本阿弥書店、2019年)

編集

  • 鈴木真砂女著『鈴木真砂女句集』(芸林書房、2002年)

受賞

脚注

  1. ^ 岸本マチ子さん死去 俳人、詩人”. 東京新聞 (2023年8月2日). 2023年9月3日閲覧。
  2. ^ 第44回 岸本マチ子”. 現代俳句協会. 2023年9月3日閲覧。
  3. ^ a b c 詩人・俳人の岸本マチ子さんが死去 88歳 第1回山之口貘賞受賞者”. 琉球新報 (2023年8月1日). 2023年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月3日閲覧。
  4. ^ a b 俳人の岸本マチ子さん死去、88歳…「沖縄歳時記」刊行に尽力”. 読売新聞 (2023年7月31日). 2023年9月3日閲覧。
  5. ^ a b c [訃報]岸本マチ子さん死去 88歳 県内初の現代俳句協会賞”. 沖縄タイムス (2023年8月2日). 2023年9月3日閲覧。
  6. ^ 岸本マチ子さん死去”. 朝日新聞 (2023年8月3日). 2023年9月3日閲覧。
  7. ^ 歴代受賞者・受賞作品”. 小熊秀雄賞. 2023年9月3日閲覧。
  8. ^ 現代俳句協会賞”. 現代俳句協会. 2023年9月3日閲覧。



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