山本飼山とは? わかりやすく解説

山本飼山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/17 09:29 UTC 版)

山本 飼山(やまもと しざん、1890年明治23年)7月23日 - 1913年大正2年)11月5日)は、思想家、社会運動家。本名は山本 一蔵

山本飼山

生涯

1890年明治23年)、東京に生まれる。8歳の時自由民権運動の壮士であった父を失い、母とともに長野県松本市にある亡父の生家に寄寓。その後、飼山の母は彼が12歳の時に、彼を残して再嫁している。

小学校時代より無教会派キリスト教の感化を受け、旧制長野県松本中学に在学中、キリスト教的社会主義に共鳴し、とりわけ木下尚江の思想に関心を示した。15歳の頃、日露戦争の際に、非戦論の演説をし、停学処分を受けている。その後、早稲田大学文学部に入り、石川三四郎・渡辺政太郎を介して、大杉栄荒畑寒村幸徳秋水らの知遇を得、『近代思想』に評論を寄せるようになる。その一方で、クロポトキンの『相互扶助論』の翻訳にも着手している。これは未完成のまま終わっている[1]

その思想は、無教会派キリスト教より始まり、以後、社会主義・無政府主義・老荘思想・絶対他力本願思想と足早な遍歴を経ている。一方で、明治天皇の病気には深い衝撃を受け、日記によると

七月二十三日(火)雨-曇。陛下の大患に心痛む。今日は予の誕生日なり。過去に十三年の数奇なる運命を思うて感深し。噫(ああ)、この秋は雨か嵐か予測を許さぬ予の前途かな

と記されている。

1913年大正2年)、早稲田大学を優等で卒業したが、危険思想の持ち主として職につけず、同年11月5日早朝、大久保で貨物列車に投身自殺した。

その早過ぎる死は同世代の青年に深い衝撃を与え、翌大正3年、友人たちの手で『飼山遺稿』が上梓された[1]

木々高太郎は小説『笛吹』の中で、彼を登場させ、その思想の一部を紹介している。

脚注

  1. ^ a b 『木々高太郎全集』月報 №3より「編集室から」

参考文献

  • 『笛吹』(『木々高太郎全集3』所載、朝日新聞社刊)より
  • 『飼山遺稿』深澤白人(岩十) 編 泰平館書店 1914年(大正3年)6月

 復刻版 湖北社 1980年(昭和55年)3月

  • 『定本 飼山遺稿』西田勝・上條宏之・荻野富士夫 編 銀河書房 1987年(昭和62年)10月

山本飼山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 05:11 UTC 版)

笛吹 (小説)」の記事における「山本飼山」の解説

この物語主要人物畑井俊二から由利雄に送られパンフレット渋面」に、トルストイ批判一文寄せていたことから由利雄の関心惹く畑井紹介で、文通をすることになり、郷里帰る際に実際に会うに至る。朝子は、飼山と由利雄の交流ラヴレターのようだ、と語っていた。その面会した3月26日のことが問題になり、試験漏洩事件疑われ由利雄を救うため、地元新聞社掛け合うが、そのことがかえって由利雄を苦境陥れることになる。上京後由利雄の専検高校受験、及び第一高等学校家庭教師同級生の中から工面し自身国語漢文担当する晩年アナーキスト捨て宗教復縁しつつあった。早稲田大学文学部英文科卒業し由利雄たちが転居した後、疎遠になり、その年の11月5日鉄道自殺をはかり、死去

※この「山本飼山」の解説は、「笛吹 (小説)」の解説の一部です。
「山本飼山」を含む「笛吹 (小説)」の記事については、「笛吹 (小説)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「山本飼山」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「山本飼山」の関連用語

山本飼山のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



山本飼山のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの山本飼山 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの笛吹 (小説) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS