局在と移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/29 17:33 UTC 版)
SRタンパク質は細胞質と核内の核スペックルに存在するが、大部分は核内に存在する。SRタンパク質の局在はRSドメインのリン酸化に依存している。RSドメインのリン酸化によってSRタンパク質は核内へ移行し、とどまりつづける。RSドメインの部分的な脱リン酸化によって核を離れ、細胞質にはリン酸化されていない状態で存在する。 SRタンパク質は、クロマチン間顆粒(英語版)とperichromatin fibrilと呼ばれる2つの異なるタイプの核スペックルに位置している。クロマチン間顆粒は、pre-mRNAスプライシングに関与するタンパク質の貯蔵と再集合が行われる場所である。Perichromatin fibrilは遺伝子の転写が行われている領域で、SRタンパク質は転写と共役したスプライシングを行うためRNAポリメラーゼIIに結合している。 核へのSRタンパク質の局在には、2つのプロテインキナーゼが関与していると考えられている。SRPK1(英語版)(SR protein kinase 1)は、細胞質に位置するSRタンパク質のRSドメインのN末端領域に結合し、10–12ヶ所のセリン残基をリン酸化する。リン酸化されたSRタンパク質は核へ移動し、その後核スペックルへ移行する。2つ目のプロテインキナーゼCLK1(英語版)はSRタンパク質のRSドメインの残りのセリン残基をリン酸化し、SRタンパク質は核スペックルから出て転写共役スプライシングのためにRNAポリメラーゼIIに結合するようになる。 SRタンパク質の核外への移動は異なる機構で制御されている。核から出ないSRタンパク質はnonshuttling SR protein(ノンシャトリングSRタンパク質)、核から出るSRタンパク質はshuttling SR protein(シャトリングSRタンパク質)と呼ばれている。SRp20(SRFS3)と9G8(SRFS7)は哺乳類のシャトリングSRタンパク質の例である。どちらもポリアデニル化されたRNAを認識して結合し、輸送を行う。核外への輸送が起こらないノンシャトリングSRタンパク質のほとんどには核保持シグナルが存在している。シャトリングSRタンパク質は、核外への輸送のために核外輸送因子TAPに結合する。また、RRMドメインのアルギニン残基のメチル化もSRタンパク質の核外輸送に関与している可能性がある。
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