密定義作用素の随伴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 02:20 UTC 版)
ヒルベルト空間 H 上の密定義作用素 A は、その定義域 D(A) が H において稠密で、かつその終域が H であるようなものを言う。 その随伴 A* はその定義域 D(A*)が ⟨ A x , y ⟩ = ⟨ x , z ⟩ ( ∀ x ∈ H ) {\displaystyle \langle Ax,y\rangle =\langle x,z\rangle \quad (\forall x\in H)} を満たす z ∈ H が存在するような y ∈ H 全体の成す集合で与えられ、かつ A*(y) = z となるものとして定義される。 上記性質 1.–5. は(定義域と終域が適当な条件を満たせば)成立する。例えば最後の性質について、随伴作用素 (AB)* は(A, B, AB が密定義作用素ならば)作用素B*A* の延長で与えられる。 作用素 A の像とその随伴 A* の核との間の関係性は、 ker A ∗ = ( im A ) ⊥ ( ker A ∗ ) ⊥ = im A ¯ {\displaystyle {\begin{aligned}&\ker A^{*}=(\operatorname {im} A)^{\bot }\\&(\ker A^{*})^{\bot }={\overline {\operatorname {im} A}}\end{aligned}}} で与えられる(ここで上付き横棒は集合の閉包を表す。直交補空間も参照)。一つ目の式の証明は A ∗ x = 0 ⟺ ⟨ A ∗ x , y ⟩ = 0 ( ∀ y ∈ H ) ⟺ ⟨ x , A y ⟩ = 0 ( ∀ y ∈ H ) ⟺ x ⊥ im A {\displaystyle {\begin{aligned}A^{*}x=0&\iff \langle A^{*}x,y\rangle =0\quad (\forall y\in H)\\&\iff \langle x,Ay\rangle =0\quad (\forall y\in H)\\&\iff x{\mathrel {\bot }}\operatorname {im} A\end{aligned}}} で、二つの式は一つ目の式の両辺の直交補空間をとることでわかる。一般に、像は閉とは限らないが連続線型作用素の核は常に閉である。
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