実質的意味の法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 03:13 UTC 版)
実質的意味の法律の意義(法律の実質的意味)としては、主に以下の立場がある。 19世紀の立憲君主制の時代においては、君主が法律を制定する権限のうち、国民の「自由と財産」を制限する法律の制定権限のみを議会に移した事情から、「自由と財産に関する一般的・抽象的な法規範」と限定的に理解された(法規の伝統的理解)。この立場は、ドイツ立憲君主制憲法下における君主と国民(議会)の間の妥協の産物であり、大日本帝国憲法下において主流の立場であった。 国民主権の観念が広く認められる現代においては、「自由と財産に関する」という限定を付さずに、一般的・抽象的な法規範とみなす立場が多く見られる。この立場は、そのようにみなすことで、法律の一般性(不特定多数の個人・事件に対する、平等な法の適用)が担保され、法治主義に適うと考える(法規の現代的理解の一つ)。たとえば日本国憲法下における実質的意味の法律は、一般的・抽象的な法規範を指すとされる。 実質的意味の法律の所管事項を憲法で規定している例もある。フランス第五共和国憲法下では、法律の所管事項が狭く限定されているため、議会の権限が狭く、政府が議会のコントロールを受けずに活動できる余地が大きい。
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