宇宙船への装備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 19:33 UTC 版)
射出座席は有人の宇宙船にも搭載されている。 世界最初の有人宇宙船であるボストークは、重量の関係からカプセル全体を安全に減速できるだけの大きさのパラシュートを搭載できなかったため、大気圏再突入後、高度7,000mで搭乗者を座席ごとカプセルから射出し、搭乗者のみパラシュート降下する設計となっていた。ボストーク1号で初の宇宙飛行を行ったユーリイ・ガガーリンもこの方式で帰還したが、国際航空連盟による「宇宙飛行」の定義では乗員が機体に搭乗したままで着地ないし着水することとされており、当初ソビエト連邦はガガーリンの宇宙飛行が定義に照らして認められないことを懸念し、射出座席が搭載されていることは語っていなかったが、宇宙飛行が認定されてからそれを使ったことを明らかにした。 アメリカでは、ジェミニ宇宙船において射出座席を装備しているが、これは大気圏内における非常脱出用である。 やがて、安全に着陸できるだけのパラシュートが搭載可能になると、射出座席は装備されなくなったが、後にスペースシャトルに再び搭載されることとなった。ただこれは、試験飛行の期間に限定されて搭載されただけであり、正式な運用が開始されると実用性の低さ(シャトルが低高度・低速でないと助からない)や重量増や機構の複雑さから取り外されてしまっている[要出典]。チャレンジャー号爆発事故では乗員が海面に激突するまで生存していた可能性があるとされ、再び射出座席などの緊急脱出装置の装備が検討されたが、機体の大幅な設計変更(操縦室の屋根を丸ごと吹き飛ばす仕組みが必要になる)や乗員数の削減を要する事から実現しなかった。なお、ソ連版スペースシャトルといえるブランには射出座席が標準装備されていた。
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