孤立電子における磁気回転比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 09:50 UTC 版)
「磁気回転比」の記事における「孤立電子における磁気回転比」の解説
孤立電子は、スピンによって角運動量と磁気モーメントを持っている。 電子のスピンは、軸の周りを古典的に回転しているように描写されることがあるが、実際はそれは根本的に異なる。古典物理学には類似するようなものは無く、量子力学的な現象である。 よって、上記のような古典的における関係が得られるとは考えづらい。実際、ge(もしくは、混同する恐れがない場合は単に g)と記述する 「電子のg因子」と呼ばれる無次元量を用いて、先ほどとは異なった結果を与える。 | γ e | = | − e | 2 m e g e = g e μ B / ℏ {\displaystyle |\gamma _{\mathrm {e} }|={\frac {|-e|}{2m_{\mathrm {e} }}}g_{\mathrm {e} }=g_{\mathrm {e} }\mu _{\mathrm {B} }/\hbar } ここで、 μB はボーア磁子である。古典物理学による式と見比べると、g因子は g = 1 であると予想される。しかし、相対論的量子力学によると、 g e = 2 ( 1 + α 2 π + ⋯ ) , {\displaystyle g_{e}=2(1+{\frac {\alpha }{2\pi }}+\cdots ),} となる。ここで、 α ≈ 1 / 137 {\displaystyle \alpha \approx 1/137} は微細構造定数である。 相対論的な結果 g = 2 への小さな補正は場の量子論によって説明される。この結果は実験的に測定された電子のg因子と小数第12位まで一致することが確かめられている(QEDも参照)。 g e = 2.0023193043617 ( 15 ) . {\displaystyle ~g_{\mathrm {e} }=2.0023193043617(15).} 電子の磁気回転比は負の値をもち、その絶対値のCODATA推奨値はNISTにより以下のように勧告されている。 | γ e | = 1.760 859 770 ( 44 ) × 10 11 r a d s − 1 T − 1 . {\displaystyle |\gamma _{\mathrm {e} }|=1.760\,859\,770(44)\times 10^{11}\,\mathrm {rad\ s^{-1}T^{-1}} .}
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