子宮収縮促進薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 22:26 UTC 版)
陣痛促進剤も参照のこと。子宮収縮促進薬は分娩誘発(induction)を行うときに用いられる。分娩誘発を行うには母体、胎児の両方が一定の条件を満たしている必要がある。母体においては経腟分娩に耐えられる全身状態であり、子宮頚管が熟化しており、児頭骨盤不適合がなく、陣痛促進剤の禁忌例ではないこと、患者の同意が得られていることなどがあげられる。胎児においては母体外生活が可能な状態であり、臍帯下垂や横位などの産科的異常がないことがあげられる。子宮頚管の熟化はビショップスコアで判定されるが7点以下の初産婦、4点以下の経産婦の場合は頸管熟化法を行ったうえ、分娩誘発を行うことも多い。子宮収縮促進薬の副作用は過強陣痛である。これらは内子宮口、子宮内圧、陣痛周期、陣痛持続時間で評価する。 2018年に公表された第8回産科医療補償制度再発防止関する報告書を受け、PMDAは、同年と翌2019年に、子宮収縮薬を用いた分娩誘発や微弱陣痛の治療の際には、その必要性と危険性の説明を十分に行い、同意を得てから使用することと、分娩監視装置を用いて胎児の心音や子宮収縮の状態を十分に監視するよう注意喚起を行っている。これをうけ2019年12月、各製薬企業は、適正使用に関する依頼文をあらためて作成した。 オキシトシン アトニン-Oなど 5単位(1アンプル)を500mlの5%ブドウ糖液に溶解し、毎時15mlより点滴静注を開始し、40分毎に毎時10mlずつ加速していく、という方法をとることが多い。毎時30~90mlで分娩第2期にいたることが多い。毎時120mlにて有効陣痛にいたらないときは一度分娩誘発を中止する。 PGE2 プロスタグランジンE2、ジノプロストンなど 厳密に言うと陣痛誘発剤であり、陣痛促進剤ではない。1時間ごとに1錠ずつ内服をする。最大6回まで内服可能であり、2~3分毎の陣痛が出現すれば投与を中止する。頸管熟化作用ももつ。 PGF2α プロスタルモンF、ジノプロストなど 喘息で使用禁忌となる陣痛促進剤である。3000μgを500mlの5%ブドウ糖液に溶解し、毎時30mlより点滴静注を開始し、30分毎に毎時15mlずつ加速していくことが多い。毎時60~90mlで分娩第2期にいたることが多い。毎時250mlにて有効陣痛にいたらないときは一度分娩誘発を中止する。
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