天風_(エンジン)とは? わかりやすく解説

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天風

(天風_(エンジン) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/17 08:40 UTC 版)

天風(あまかぜ)またはハ13は、第二次世界大戦前に東京瓦斯電気工業(後の日立航空機)が開発・製造した航空機用空冷星型エンジンである。なおハ13甲2型のみ、トヨタ自動車工業が開発・製造した。読みは「てんぷう」ではなく「あまかぜ」と読むのが公式には正しい。

海軍に天風として、陸軍にはハ13として採用され、主に陸海軍の中間・高等練習機に搭載されている。大戦後半の陸海軍統合名称はハ23

実用機向けエンジンの増産のため、エンジン製造用設備を用いずに製造する簡易型の天風一五型が1943年に計画された。これは従来鍛造品を仕上げ加工していたものに鋳造品や鍛造打ち放し品を用いたり、鋳造品も工法を簡易なものにする、歯車は鉄板打ち抜き材を用いる、軸受ブッシュ類はアルミニウム合金製、ねじ軟鋼製として数も極力削減するなど極度に部品点数の削減・工法簡易化・戦略資源削減を行ったもので、部品は非軍需工場で製造し日立で組み立てを行う計画だった。1944年初めには試作機の耐久試験を終え九三式中間練習機による飛行実験も良好な成績を示したものの、部品供給がなかなか立ち上がらなかったため日立での大規模生産を諦めて正田飛行機製作所で小規模な生産が続けられるに留まった。[1]

現存するものとしては、2012年十和田湖から引き揚げられた一式双発高等練習機に装備されていたハ13甲2基がある。そのうちの1基は日野自動車のエンジン実験部門と生産技術部門がレストアを実施し、青森県航空協会からの借用という形で2013年から日野オートプラザで展示された後、返却され青森県立三沢航空科学館で機体と共に展示された。レストア時、泥に埋まっていた部分は腐食があったものの水中に出ていた部分は状態がよく、分解すると内部からオイルが出てきたという。レストアを担当した者によれば、素晴らしい技術であるものの部品の生産性などは考慮されていないと感じたという。[2][3][4]

性能諸元

名称 天風一一型 天風一二型 天風二一型 天風三一型 天風五改二 ハ13I・II ハ13甲I・II
形式 空冷単列星型9気筒
内径×行程 130 mm × 150 mm
排気量 17.9 L
圧縮比 5.2 6.65 6.82
寸法
全長 1,018 mm
直径 1,236 mm 1,192 mm 1,162 mm 1,192 mm 1,208 mm
乾燥重量 295 kg 310 kg 328 kg 337 kg 320 kg 290 kg 320 kg
離昇馬力
馬力 340 HP 480 HP 500 HP 515 HP 380 HP 515 HP
回転数 2,100 rpm 2,300 rpm
吸気圧 +75 mmHg +130 mmHg
公称馬力
馬力 300 HP 450 HP 430 HP 480 HP 350 HP 480 HP
回転数 1,800 rpm 2,200 rpm 2,000 rpm 2,200 rpm
吸気圧 +30 mmHg +65 mmHg
高度 地上 2,000 m 地上
出典 [5] [5] [5] [5] [5] [5] [5]

搭載機

脚注

注釈

出典

  1. ^ 永野 1953, pp. 476–477.
  2. ^ "日野、航空機用「天風21型」エンジンを「日野オートプラザ」に展示 - Car Watch"、株式会社インプレス(2013年7月24日)。2017年9月22日時点のアーカイブ。
  3. ^ "日野オートプラザで、「天風」エンジンを展示 - グランプリ・モーター・ブログ"、グランプリ出版(2013年8月5日)。2014年11月10日時点のアーカイブ。
  4. ^ "貴重な機体が空の遺産になることを期待!!(三沢航空科学館-一式双発高等練習機) | まるごと青森"、青森県(2015年1月9日)。2017年7月7日時点のアーカイブ。
  5. ^ a b c d e f g 日本機械学会 1949, pp. 1030–1031.

参考文献

  • 永野治 著「航空機用原動機」、岡村順 編『わが軍事科学技術の真相と反省(III) 航空技術の全貌(上)』興洋社、1953年8月、431-492頁。 
  • 日本機械学会 編『日本機械工業五十年』日本機械学会、1949年3月。 

「天風 (エンジン)」の例文・使い方・用例・文例

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