大気の蒸発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 17:55 UTC 版)
「HD 189733 b」の記事における「大気の蒸発」の解説
2010年3月、水素ライマンα線を使用したトランジット観測で、HD 189733 bが大気の蒸発によって毎秒1〜100 Gg(1,000〜100,000 t)のペースで質量を失っていることが判明した。この兆候は、原子状水素からなる膨張した大気圏を検出することによって発見された。HD 189733 bはHD 209458 bに次いで2番目に大気の蒸発が検出された太陽系外惑星である。HD 189733 bとHD 209458 b以外では、WASP-12bやかに座55番星bなどいくつかのホット・ジュピターでも大気の蒸発が確認されている。主星の活動がより活発だった形成初期のころは、より強い紫外線やX線の放射を受けていたため、現在よりも大気の蒸発はさらに激しかったとされている。 2011年9月には、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて行われた観測で、HD 189733 bの大気が彗星のように尾を引いていることが確認された。2010年4月にもハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている分光器STISを用いたHD 189733 bの大気流失の痕跡を捜索したが、そのような痕跡は観測されていなかった。一方で、今回の観測の8時間前に、天文衛星スウィフトによって主星HD 189733 Aの表面で強力なX線フレアの発生が観測されており、このとき観測されたHD 189733 bの大気流失はこのX線フレアの影響によって引き起こされたとみられている。この観測を行った研究チームは、HD 189733 bはX線フレアの影響を地球の約300万倍も受けていると指摘している。
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