多元的国家論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/15 06:10 UTC 版)
多元的国家論(たげんてきこっかろん)は国家も社会集団の一つにすぎないという政治学上の考え方。
国家と社会集団との共通点
- 統一的な意思決定機関の存在
- 成員を規律する規則の存在
- リーダーへの権威の付与
- 非従者に対する制裁
ただし、諸集団の利害対立を調整する機能を持っている点において国家は他の社会集団に優越する。
多元的国家論は、市民社会を過渡的な一段階とし、その矛盾を克服した存在として国家を論じるヘーゲル国家論を批判否定したが、マルクス国家論とは国家と社会を区別する点で共通している。
多元的国家論を主張した思想家にはハロルド・ラスキ、バーカー、マッキーバーなどがいる。ラスキは労働組合、フィギスは宗教団体を社会集団として重視した。
批判
カール・シュミットは『政治的なものの概念』の中でラスキの多元的国家論を取り上げ、「政治的なもの」に対する定義が無い点を批判している。
日本での主張者
- 高田保馬『社会と国家』1922年
- 中島重『多元的国家論』1922年
- 原田剛『欧米に於ける主権概念の歴史及び再構成』1934年
- 河合栄治郎『ファッシズム批判』1930年
- 岩崎卯一『国家現象の社会学的理解』1942年
参考文献
多元的国家論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:20 UTC 版)
国家学が政治社会を国家とほぼ同義に見ていたのに対して、アメリカやイギリスで興った多元的国家論は、国家の役割をより限定的に見るものであった。コール[要曖昧さ回避]は、社会を全体性に基づく柔軟なコミュニティと、その内部に存在する目的性に基づくアソシエイションに分類すべきと述べた。コミュニティは世界、国民、村落といった柔軟かつ多様な社会で、その内部に会社、結社、組織などといった目的性を持った社会としてのアソシエイションが存在しているとした。これによれば、政治社会は国家学のように国家の利害に基づいて成立するのではなく、多様なアソシエイションの利害の総合の上に成り立つものであるとされた。つまり政治学の対象を国家だけでなく、社会のさまざまな集団に向けるものであった。ラスキはコールの論に基づいて、国家はアソシエイションの1つに過ぎないのであるから道徳的優越性を持つものではないとして、政治学が国家中心に語られるのを批判した。
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「多元的国家論」の例文・使い方・用例・文例
- 多元的国家論という政治理論
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