増殖の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:45 UTC 版)
「APC (タンパク質)」の記事における「増殖の調節」の解説
APCタンパク質は通常、SAMPリピートなどを介した相互作用によって、アキシン、GSK-3(GSK-3α(英語版)/β(英語版))、とともにβ-カテニン分解複合体(β-catenin destruction complex)を構成している。β-カテニンに対する最初のリン酸化を行うカゼインキナーゼ1(英語版)(CK1)の助けによって、GSK-3は2つ目以降のリン酸化を行うことができるようになる。これによってβ-カテニンはユビキチン化の標的となり、プロテアソームによって分解される。その結果、β-カテニンの核への移行は妨げられる。Wntシグナルは分解複合体の解体を引き起こしてβ-カテニンを安定化し、β-カテニンは核へ移行して増殖遺伝子の転写因子として機能する。APCの他の機能として、APCは微小管へ標的化されて微小管を安定化しているのに加えて、PDZ結合ドメインを介した相互作用によってアクチンフィラメントとも間接的に結合している可能性がある。 APCによるβ-カテニンの結合は、SAMPリピートを介したアキシンとの結合と同様、分解複合体中でのタンパク質の機能に必要不可欠であると長らく考えられてきた。こうしたモデルは、一般的なAPCのMCRの機能喪失変異ではいくつかのβ-カテニン結合部位とSAMPリピートが除去されているという観察によって裏付けられていた。しかし、 APCとβ-カテニンの直接的な相互作用はβ-カテニンの分解には必須ではないことが近年示され、分解の効率を高める役割を果たしていると考えられている。
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