土左衛門
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 04:50 UTC 版)
水に浮いた水死体のことを「土左衛門(どざえもん)」と呼ぶのは江戸時代からの伝統である。 名前の由来は、山東京伝の『近世奇跡考』巻1に「案(あんず)るに江戸の方言に 溺死の者を土左衞門と云(いう)は成瀨川肥大の者ゆゑに水死して渾身暴皮(こんしんぼうひ)ふとりたるを土左衞門の如しと戲(たわむ)ゐひしがつひに方言となりしと云」とある。水死体はいったん水底に沈み腐敗が始まるとガスを発生し、組織が水を吸ってぶよぶよになり、体が膨れ上がって真っ白に見えることがある。この様が、享保年間に色白で典型的なあんこ型体形(締まりのない肥満体)で有名だった大相撲力士、成瀬川土左衛門にそっくりだったことからこの名がついたという。 力士の四股名には伝統名として繰り返し襲名されるものが多いが、「土左衛門」はこの成瀬川の後は一度も襲名されることがなかった。 昔から海運業、海洋土木、水産業、造船業等海にまつわる業界では、土左衛門を発見し陸に上げて供養することは縁起が良いこととされている。
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