回族社会におけるアホンの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 16:54 UTC 版)
「アホン」の記事における「回族社会におけるアホンの役割」の解説
新疆ウイグル自治区の回族の間では、清代以降は清真寺(モスク)やゴンベイ(聖廟)で宗教教育を修め、審査に合格した人物に対して用いられている。 1980年代以降の中国では既存のアホンやアホンの志望者に対して中国イスラム協会が実施する試験が課され、合格者には公的な証明書が交付される。通常は「開学アホン」とも呼ばれる清真寺の教長に対して使われるが、教長職に就いていなくとも証明書を交付された人物に対しても使われるため、役職というよりも資格に近い。開学アホンの下に職務を補佐する治学アホンが置かれることがあるが、治学アホンは清真寺で正式な宗教教育を受けていないことが多い。アホンに教えを請うために彼の元を訪れた学生や、アホンに従って旅をする弟子はハリーファ(アラビア語で「代理人」の意)やマンラー(アラビア語で「師」を意味するマウラーが転訛した語)と呼ばれ、アホンとともに清真寺で生活し、師の職務を補佐した。 清真寺を中心に形成されるイスラム教徒のコミュニティでは通常長老達がアホンを選ぶための協議を行い、学識のある人物が招致される。門宦(神秘主義教団)の影響下に置かれているコミュニティの場合は、教団の指導者が派遣されるアホンを選んだ。アホンの任期は3年であるが、再選されることもある。再選されなかったアホンは他のコミュニティに移動、もしくは教長を辞任する。 コミュニティに派遣されたアホンは清真寺に居住し、経堂教育(清真寺での宗教教育)、宗教儀式、冠婚葬祭、イスラーム法(シャリーア)による行為の判断、雨乞いなどを司る。アホンの給与や経堂教育の運営費は当初有志のアホンが負担していたが、やがてコミュニティの人間が共同して負担するようになった。
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