嗅覚系の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 06:50 UTC 版)
嗅覚が色覚の選択圧に寄与した可能性もある。嗅覚受容体遺伝子が失われた時期と、恒常的3色型色覚が進化した時期とが一致することを示唆した研究があるが、疑義を受けて著者により撤回された。この説は、嗅覚が低下するにつれて、採餌において3色型色覚が重要となり、選択圧が増加したと説く。また、3色型色覚をもたらした突然変異により、フェロモン通信の必要性が低下し、後にこの機能の喪失に至った可能性もある。 結局、嗅覚受容体の濃度と色覚の獲得に直接的関係があることは示されていない。研究によると、ヒトおよび旧世界ザルが共通して持つフェロモン伝達経路偽遺伝子の特性をホエザル属は共有しておらず、結果としてホエザル属はフェロモン通信システムと恒常的3色型色覚の両方を維持している。 したがって、3色型色覚を得たことが直接フェロモンによるコミュニケーションが失われる原因になるわけではなく、様々に組み合わさった環境要因が関係する。しかしながら、大多数の3色型色覚種において2つの形質の間に有意な負の相関関係があることが研究により示されている。
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