古細菌のDNA複製
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 08:04 UTC 版)
古細菌のDNA複製については全貌が明らかになっていない。研究ではもっぱらスルフォロブス属のSulfolobus solfataricus P2などを用いる。知見の多くは、真正細菌か真核生物の複製に関わるDNA配列やタンパク質と相同な古細菌のそれから推測されている。類似遺伝子の探索では複製起点を発見することができなかったが、古細菌ゲノムの領域ごとにヌクレオチドの出現頻度を統計する方法により、ピュロコックス属であるPyrococcus abyssi の複製起点が断定された。古細菌のDNA複製は真核生物寄りの複製機構を基本に、真正細菌的な要素が一部混合するようである。 古細菌の伸長段階で働くタンパク質の多くは、真核生物の当該タンパク質のアミノ酸配列にも遺伝子にもよく類似している。特に、RFCやPCNは相同タンパク質が存在する。また、メタン生成古細菌の3種を除いて、現在までに配列決定されたすべての古細菌ゲノムは、少なくとも、Orc1とCdc6の両方に相同性を有する遺伝子を1つ含んでいる。古細菌のDNAポリメラーゼは、デオキシヌクレオチドを合成するサブユニットが真核生物のDNAポリメラーゼδのそれと類似性を示す。一方、DNA複製中に行われる校正修復を担うタンパク質は、大腸菌のDNAポリメラーゼIIIのεサブユニットと相同であるとされる。
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